思春期の子どもとの会話で、
「ちゃんと聞いたのに」
「そんなつもりで言ったんじゃないのに」
そんなすれ違いが起きることはありませんか?
親子だから分かり合えるはず。
そう思っていても、実際には親子だからこそ「言わなくても分かるだろう」と思ってしまうことがあります。
大切なのは、すれ違わない親子になることではありません。
すれ違ったあとに、またいつもの関係へ戻れること。
今回は、わが家で実際に起きた小さな出来事から、親子の信頼関係について考えてみたいと思います。
思春期の親子は、なぜ「伝えたつもり」ですれ違うのか
ある日、息子に聞きました。
「洗濯機、使う?」
返事は、
「使わない」
それなら、と私は洗濯機を回して出かけました。
ところが、そのあと息子からLINEが。
「洗濯機使えないようにして出てくのやめてくれ クソ迷惑」
……え?
だから聞いたじゃん。
もちろん、そう思いました。
以前の私なら、ここで反論していたかもしれません。
「使わないって言ったでしょ!」
こちらにも言い分があります。
でも、この日は返さず、帰宅して洗濯物を干しました。
そして、それで終わりました。
しばらくすると、またいつもの親子に戻っていました。
思春期の「言った・言わない」は親子関係が悪い証拠ではない
人は同じ言葉を聞いても、その意味をまったく同じように受け取るとは限りません。
まして思春期から青年期は、親から心理的に距離を取り、自分の考えや生活を自分で決めていこうとする時期です。
親には、
「確認した」
でも子どもには、
「今は使わないと言っただけ」
だったのかもしれません。
ここで重要なのは、どちらが正しかったかを決めることではありません。
親子のすれ違いを毎回「勝ち負け」にしてしまうと、小さな出来事が大きな衝突へ発展することがあります。
子どもの強い言葉の奥にあるもの
思春期の子どもは、気持ちをいつも適切な言葉で表現できるわけではありません。
「困った」
「今使いたかった」
「なんでこうなったんだ」
そんな気持ちが、強い言葉になって出てくることもあります。
もちろん、暴言なら何を言ってもいいという意味ではありません。
落ち着いたあとに、
「腹が立つことはあっても、その言い方は嫌だったよ」
と伝えることも必要です。
ただ、その場で親も同じ強さで言い返すと、本来は「洗濯機」の話だったはずが、
「どっちが悪いのか」
という親子げんかに変わってしまうことがあります。
親子の信頼関係は「ケンカをしないこと」ではない
私は今回、洗濯機の出来事そのものより、その後のことに親子関係の変化を感じました。
引きずらなかったのです。
以前なら、お互いに嫌な気持ちを抱えたまま、しばらく会話がなくなることもありました。
ところが今回は違いました。
腹が立つことはあった。
息子も不満を言った。
私にも言い分があった。
それでも、その出来事だけで親子関係全部を悪いものにしなかった。
これは私にとって、とても大きな変化でした。
信頼関係がある親子にも、すれ違いは起こる
信頼関係というと、
「何でも話してくれる」
「いつも仲がいい」
「ケンカをしない」
そんな親子を想像するかもしれません。
でも私は、そうではないと思っています。
意見が違ってもいい。
腹が立つ日があってもいい。
会話がうまくいかない日があってもいい。
それでも、
「また話せる」
そう思える関係こそ、大切なのではないでしょうか。
思春期の子どもとすれ違ったとき、親ができる3つのこと
1.その場で「正しさ」を証明しようとしない
「私はちゃんと聞いた」
それが事実でも、その瞬間に証明しなくても大丈夫です。
お互いに感情が高ぶっているときは、正論ほど相手に届かないことがあります。
まずは話を大きくしない。
それだけでも十分な対応になることがあります。
2.子どもの感情と、言葉遣いを分けて考える
怒ったことそのものと、暴言は別です。
「腹が立ったんだね」
と気持ちを理解することと、
「その言い方は嫌だよ」
と境界線を示すことは両立します。
受け止めることは、何でも許すことではありません。
3.翌日まで親子げんかを持ち越さない
親のほうから普通に、
「おはよう」
「ご飯できたよ」
「行ってらっしゃい」
と日常へ戻る。
これは負けではありません。
「昨日いろいろあったけれど、あなたとの関係は終わっていないよ」
というメッセージにもなります。
親子の信頼関係は、何度でもつくり直せる
思春期になると、
「小さいころ、もっと話を聞いてあげればよかった」
「今さら関係を変えるなんて無理かもしれない」
そう思うこともあるかもしれません。
でも、親子関係は一度決まったら終わりではありません。
うまくいかなかったら、また話す。
言い過ぎたら謝る。
距離を置いたら、また戻る。
その小さな繰り返しが、
「この人とは、すれ違ってもまた戻れる」
という安心につながっていきます。
完璧な親子関係を目指さなくても大丈夫。
すれ違わないことより、
すれ違ったあとに戻れること。
私は、それも親子の信頼関係を育てる大切な力だと思っています。
