「またスマホ見てる」
「ゲームばっかり」
「いつまでパソコンやってるの?」
何度声をかけてもやめない。
夜遅くまで画面を見て、朝は起きられない。
そんな子どもの姿を見ていると、
「このままで大丈夫なの?」
「生活リズムがもっと崩れてしまう」
「親として止めた方がいいのでは?」
と心配になることがあります。
私にも、忘れられない経験があります。
不登校の真っ只中にいた娘の、パソコンの電源を切ったことです。
今でも、あのときのことを思い出します。
何度言ってもやめない娘に、私は焦っていました
当時、娘は学校へ行けない状態が続いていました。
そして、パソコンを見る時間が増えていました。
夜更かしをすれば生活リズムも崩れます。
もちろん私は、それまで何も言わなかったわけではありません。
何度も声をかけました。
夜更かしについて注意もしました。
「このまま昼夜逆転してしまったらどうしよう」
「ますます学校から遠ざかってしまうのではないか」
そんな心配もあったのだと思います。
でも、何度言ってもパソコンを見ている。
あるとき私は、声をかけることもなく、パソコンの電源を落としました。
電源を切ったあと、娘から聞いた言葉
娘は言いました。
「親身になってくれている先輩から、大事な助言をもらっている最中だった」
私は言葉を失いました。
私から見えていたのは、
「学校へ行けず、夜遅くまでパソコンを見ている娘」
でした。
でも、娘が見ていたものは違った。
画面の向こうには、自分のことを心配し、話を聞き、助言をしてくれる人がいたのです。
私は、そのことを知りませんでした。
あのときの、体と心の芯まで冷たくなったような感覚を、今でも覚えています。
「どうして、切る前に聞かなかったんだろう」
私は、とても後悔しました。
親に見えている「困った行動」が、その子のすべてではありません
これは、
「スマホやパソコンを好きなだけ使わせましょう」
という話ではありません。
夜更かしが続けば、睡眠や生活リズムが心配になる。
約束した時間を守らないことに困ることもある。
親として声をかける必要がある場面もあります。
でも、あの経験から私は、
目の前に見えている行動だけでは、その子がそこで何をしているのかまではわからない
ということを知りました。
スマホを見ている。
ゲームをしている。
パソコンから離れない。
親には同じ「画面を見ている姿」に見えても、その中でしていることは一人ひとり違います。
友達と話しているのかもしれない。
好きなことについて調べているのかもしれない。
学校では得られない人とのつながりを持っているのかもしれない。
あるいは、つらい現実から少し離れて、心を休ませているのかもしれません。
特に、学校や人間関係で苦しんでいるときには、オンラインでのつながりや好きなことに没頭する時間が、その子にとって大切な意味を持っている場合もあります。
だからこそ、取り上げる前、電源を切る前に、一度その向こう側を見てみることが大切なのだと思います。
「やめなさい」の前に、できること
では、スマホやゲーム、パソコンばかり見ている子どもに、親はどう関わればいいのでしょうか。
1.まず「何をしているの?」と知ろうとする
いきなり、
「またスマホ?」
「いい加減にしなさい」
ではなく、
「何見てるの?」
「誰かと話してるの?」
「今、途中?」
と聞いてみる。
答えてくれないこともあるでしょう。
それでも、やめさせるための質問ではなく、知るための質問なら、子どもへの伝わり方は変わります。
2.終わらせる必要があるときは、いきなり切らない
「もう寝る時間だから終わりにしよう」
と伝える必要があることもあります。
そんなときも、
「今すぐやめて」
ではなく、
「今、途中かな?」
「あとどのくらいで区切れそう?」
と、一度確認することができます。
オンラインの向こうには相手がいるかもしれません。
ゲームでも、途中で突然やめられない場面があるかもしれません。
親の都合だけで突然切るのではなく、子ども自身が区切りをつける余地を残すことも一つの方法です。
3.生活の問題と、スマホそのものを分けて考える
本当に困っているのは、
「スマホを使っていること」
でしょうか。
それとも、
「睡眠時間が足りないこと」
「朝起きられないこと」
「食事をとらないこと」
「家族との約束が守れないこと」
でしょうか。
問題を全部「スマホのせい」にしてしまうと、親子の話し合いは、
使わせるか、取り上げるか
の二択になりがちです。
そうではなく、
「睡眠は確保したいね」
「明日の朝は何時に起きる?」
と、本当に困っていることについて一緒に考えることもできます。
不登校のときこそ「つながり」を切らないで
学校へ行けなくなった子どもを見ている親は、とても不安です。
「このままでいいの?」
「生活を立て直さなければ」
「何とか学校へ戻さなければ」
親も必死です。
私もそうでした。
だから、子どもの行動を変えようとすることばかりに目が向いてしまうことがあります。
でも、学校とのつながりが細くなっているとき、その子が別の場所で誰かとつながっていることがあります。
それが友達かもしれない。
先輩かもしれない。
オンラインで知り合った仲間かもしれない。
もちろん、オンライン上の安全について大人が気を配る必要はあります。
それでも、「画面を見ている=何もしていない」とは限りません。
あの頃の娘にとって、パソコンの向こうには、自分を気にかけてくれる人がいました。
私は電源を切って初めて、そのことを知りました。
あのときの私に、今なら何と言うだろう
もし、あの頃の自分に声をかけられるなら、
「心配だよね」
と、まず言いたいと思います。
学校へ行けない娘を見ながら、生活リズムまで崩れていく。
何度言っても変わらない。
親だって、どうしたらいいかわからなくなります。
だから、あのときの自分を責め続けたいわけではありません。
ただ、一つだけ言えるなら、
「電源を切る前に、何をしているのか聞いてみよう」
そう伝えたい。
そして、
「その画面の向こうに、今のこの子にとって大切なものがあるかもしれないよ」
と。
まとめ|取り上げる前に、その子が見ている世界を見てみる
スマホやゲーム、パソコンを使い続ける子どもを見ていると、親は心配になります。
生活リズムも気になる。
勉強も気になる。
このままでいいのかと焦る。
だから、注意してはいけないわけではありません。
ルールが必要ないわけでもありません。
でも、
「やめなさい」
「取り上げます」
「電源を切ります」
その前に、一度だけ立ち止まってみる。
「今、何してるの?」
「何を見てるの?」
「途中かな?」
そこから見えてくるものがあるかもしれません。
親から見えている「困った行動」と、子どもがその行動に求めているものは、同じとは限りません。
その画面の向こうに何があるのか。
行動だけを止める前に、子どもの世界を少し知ろうとしてみる。
それも、思春期の「安心関係づくり」の一つだと、私は思っています。
訪問心理カウンセリングルーム ははのて
子育て・思春期・不登校など、親子の安心関係づくりをお手伝いしています。
