「宿題やったの?」
「まだ。」
「テスト近いんでしょ?」
「わかってる。」
「だったら勉強しなさい!」
すると、
「今やろうと思ってたのに!」
そして子どもは部屋へ。
……結局、勉強している気配はない。
「言わなければやらない。でも、言えばもっとやらない。」
そんな思春期の子どもとのやり取りに、困っている親御さんもいるのではないでしょうか。
親が「勉強しなさい」と言うのは、子どもを困らせたいからではありません。
将来困ってほしくない。
できることなら、今のうちに力をつけてほしい。
テストや受験で後悔してほしくない。
そんな心配があるからこそ、つい口を出したくなります。
でも、良かれと思ってかけている「勉強しなさい」が、子どもの「自分でやろう」という気持ちを小さくしてしまうことがあります。
今回は、思春期の子どもが「勉強しなさい」と言われるほどやる気をなくしてしまう理由と、親にできる関わり方を考えてみます。
なぜ「勉強しなさい」と言うほど、やりたくなくなるの?
思春期は、親から少しずつ離れ、
「自分で決めたい」
「自分のことは自分で考えたい」
という気持ちが強くなっていく時期です。
そんなとき、
「勉強しなさい」
「宿題やったの?」
「いつになったら始めるの?」
と繰り返し言われると、子どもにとって勉強が、
「自分がするもの」から「親にやらされるもの」
に変わってしまうことがあります。
もともと「そろそろやろうかな」と思っていたとしても、親から言われた途端に、
「今やろうと思ってたのに」
となる。
親から見れば、
「じゃあ、やればいいじゃない」
と思いますよね。
でも子どもの中では、「勉強する・しない」だけでなく、自分のことを自分で決めたい気持ちも動いています。
親が「勉強しなさい」と言いたくなるのには理由があります
では、親は黙っていればいいのでしょうか。
私は、そうとも思いません。
テストが近いのに何もしていない。
宿題の提出期限が迫っている。
受験がある。
成績が落ちてきた。
そんな姿を見れば、心配になるのは当然です。
しかも親には、子どもより先のことが見えます。
「今やっておかないと、あとで困る」
それを経験として知っているから、教えたくなる。
だから、
「勉強しなさいと言ってしまう親が悪い」
という話ではありません。
大切なのは、親の心配をそのまま「指示」にして子どもへ渡す前に、
今、この子は何に困っているのだろう
と一度考えてみることです。
「勉強しなさい」の前に、親ができる4つのこと
1.「やったの?」ではなく、本人の予定を聞いてみる
「宿題やったの?」
と聞かれると、まだやっていない子どもは、それだけで責められているように感じることがあります。
そんなときは、
「宿題、今日はどうする予定?」
さ
「テスト勉強、どんな感じ?」
と、本人がどう考えているのかを聞く方法もあります。
「10時からやる」
と言ったなら、まずは任せてみる。
自分で決めた時間に始められなかったとしても、すぐに、
「ほら、やっぱり!」
と責めるのではなく、
「予定どおりいかなかったね。どうする?」
と、自分で考える機会を残します。
2.できなかったことだけでなく、「始めたこと」を見る
親はどうしても、
「何時間勉強したか」
「何点取ったか」
「宿題が全部終わったか」
という結果に目が向きます。
でも、
自分から机に向かった。
苦手な問題を一つやった。
昨日より少し早く始めた。
わからないところを自分から聞いた。
そんな小さな行動もあります。
「今日は自分から始めてたね」
「わからないところ、ちゃんと調べてたね」
結果だけではなく、自分で動いた過程を見る。
それは、子どもの「自分でできた」という感覚を育てることにもつながります。
3.「やらない」のか、「できない」のかを見分ける
ここは、とても大切です。
机に向かわない子どもを見て、
「やる気がない」
「怠けている」
と決めつけてしまうことがあります。
でも、
何から始めたらいいかわからない。
授業についていけなくなっている。
失敗するのが怖い。
勉強してもわからないから、やりたくない。
疲れ切っていて、取りかかる力が残っていない。
そんなこともあります。
特に、学校生活そのものに苦しさを抱えている子どもに、
「とにかく勉強しなさい」
と働きかけても、動けないことがあります。
そんなとき必要なのは、やる気を出させることより、
「どこで困っているんだろう?」
と一緒に整理することかもしれません。
4.親の不安と、子どもの課題を分けてみる
成績が下がると、親も焦ります。
「このままで高校は大丈夫?」
「将来困らない?」
「もっと言わなくちゃ」
でも、その焦りは誰のものでしょう。
もちろん、子どもの将来を考えることは親の大切な役割です。
一方で、親の不安が大きくなるほど、
「今すぐ勉強させなければ」
という気持ちも強くなります。
そんなとき、一度、
「今困っているのは、この子? それとも心配になっている私?」
と考えてみる。
これは放任するためではありません。
親の不安と子どもの課題をいったん分けることで、今本当に必要な手助けが見えやすくなることがあります。
「勉強しなさい」と言わなければ、自分から勉強する?
残念ながら、
「勉強しなさい」と言うのをやめれば、子どもが勝手に勉強する
という単純な話ではありません。
ここは期待しすぎないことも大切です。
言わなくなっても、勉強しないかもしれません。
テストの点が下がることもあるでしょう。
自分で決めた予定を守れないことだってあります。
でも、子どもが自分で考え、自分で決めるためには、小さな失敗を経験する余地も必要です。
そして困ったときに、
「だから言ったでしょ」
ではなく、
「これからどうしようか」
と一緒に考えられる。
その関係が残っていれば、失敗も次に生かすことができます。
親が育てたいのは「言われたから勉強する力」だけでしょうか
勉強は、本来、
「これ、どういうことだろう」
「もっと知りたい」
「できるようになりたい」
という気持ちから広がっていくものでもあります。
もちろん、すべての教科を好きになる必要はありません。
嫌だけどやらなければならない勉強もあります。
それでも、
「親に怒られるからやる」
だけになってしまうより、
「これは自分のことだから、自分で考える」
という感覚を少しずつ持てること。
思春期には、その経験も大切なのではないでしょうか。
親がすべての道を決めるのではなく、少しずつ本人にハンドルを渡していく。
必要なときには隣から声をかける。
困ったら一緒に考える。
勉強を通して育てたいものは、点数だけではないのかもしれません。
まとめ|「勉強しなさい」から「どうする?」へ
子どもが勉強しない姿を見ると、親は心配になります。
だから「勉強しなさい」と言ってしまう。
その気持ちまで否定する必要はありません。
でも、思春期になったら少しずつ、
「やりなさい」から「どうする?」へ。
親が決める関わりから、子ども自身が考える関わりへ。
うまくできないときには、一緒に考える。
助けが必要なときには手を貸す。
でも、子どもが自分で動こうとしているときには、その力を奪わない。
小さい頃は親がたくさん決めてきたことも、思春期になれば少しずつ本人へ返していきます。
それも、自立へ向かう親子の「安心関係づくり」の一つだと私は思います。
「勉強しなさい」と言わなくてもいい親になることが目標ではありません。
子どもが、
「自分のことを、自分で考えていい」
と思える関係をつくっていくこと。
そこから、「知りたい」「やってみよう」という気持ちが育っていくのかもしれません。
訪問心理カウンセリングルーム ははのて
子育て・思春期・不登校など、親子の安心関係づくりをお手伝いしています。
