「学校どうだった?」
「別に。」
「何かあった?」
「何もない。」
小さい頃は、聞かなくても今日あったことをたくさん話してくれたのに、思春期になった途端、何を聞いても一言で会話が終わってしまう。
そんな変化に、
「何か悩んでいるのでは?」
「私には話したくないの?」
「親子関係が悪くなってしまったの?」
と心配になる親御さんもいるのではないでしょうか。
思春期の子どもが親に話さなくなる背景には、親から少しずつ心理的に離れ、自分の考えや自分だけの世界を持とうとする成長があります。
そのため、「話してくれない=信頼関係がなくなった」とは限りません。
一方で、子どもの変化をすべて「思春期だから」と片づけないことも大切です。
この記事では、思春期の子どもが親に話さなくなる理由と、無理に聞き出さず「困ったときには話せる親子関係」を残すために親ができることをお伝えします。
思春期の子どもが親に話さなくなる3つの理由
思春期は、心も体も大きく変化する時期です。
親との関係も、小さい頃と同じではなくなっていきます。
1.親から心理的に離れ、自分で考えようとするから
小さい頃は、困ったことがあれば親に話し、助けてもらっていた子どもも、成長とともに、
「自分で考えたい」
「自分で決めたい」
という気持ちが強くなっていきます。
親には知られたくないことができる。
まだ言葉にしたくないことがある。
自分の中だけで考えてみたいことも増える。
これは、親を嫌いになったからとは限りません。
親から少しずつ心理的に離れて、自分自身の考えや価値観をつくっていくことも、思春期の成長の一つです。
2.自分の気持ちをうまく言葉にできないことがあるから
思春期は、友人関係、勉強、進路、自分自身のことなど、悩みも複雑になっていきます。
本人にも、
「何となく嫌だ」
「うまく説明できない」
「自分でもどうしたいのかわからない」
ということがあります。
そんなときに、
「どうしたの?」
「何があったの?」
「ちゃんと話して」
と答えを求められても、本人にも答えられないことがあります。
「話さない」のではなく、まだ「話せない」状態なのかもしれません。
3.話した後の親の反応を気にしていることがあるから
以前、子どもが話してきたときに、
「それはあなたも悪かったんじゃない?」
「そんなことで悩んでるの?」
「こうすればいいじゃない」
と、すぐに評価やアドバイスをしていなかったでしょうか。
もちろん、親は子どものためを思って言っています。
けれど子どもには、
「また怒られるかもしれない」
「どうせ否定される」
「言ってもわかってもらえない」
と伝わっていることがあります。
そうした経験が重なると、話す前から「言わない方がいい」と考えることもあります。
心配して聞くほど、思春期の子どもが話さなくなることもある
子どもが話さなくなると、親は心配になります。
「学校は?」
「友達とはどう?」
「何かあった?」
「どうして元気がないの?」
どれも子どもを思っての言葉です。
ところが、何度も質問されると、子どもには、
「詮索されている」
「説明しなくちゃいけない」
「自分のことを管理されている」
と感じられることがあります。
心配だから聞く。
聞かれるから、ますます話したくなくなる。
親の心配と、子どもの「今は話したくない」という気持ちがぶつかり、すれ違いが大きくなることがあります。
では、そんなとき親はどうすればいいのでしょうか。
思春期の子どもが話してくれないとき親にできる4つのこと
1.無理に聞き出そうとしない
子どもが「別に」「何でもない」と言ったら、いったんそこで止めることも大切です。
たとえば、
「わかった。話したくなったら聞くよ」
と伝えておく。
これは「もう知らない」と放っておくこととは違います。
今は話さなくてもいい。でも、話したくなったときには聞く。
その選択肢を子どもに残しておきます。
2.話し始めたら、すぐに答えを出さない
子どもがポツリと話し始めたときは、とても大切なタイミングです。
親には経験があるので、
「それはあなたも悪かったんじゃない?」
「こうすればよかったのに」
と、つい答えを出したくなります。
でも、その前に、
「そうだったんだ」
「それは嫌だったね」
「それでどう思ったの?」
と、まず最後まで聞いてみます。
子どもは、問題を解決してほしくて話しているとは限りません。
ただ「わかってほしい」「聞いてほしい」と思っていることもあります。
アドバイスが必要だと思ったときも、
「一緒に考える?」
「私の考えも聞いてみる?」
と確認してから話す方法もあります。
3.会話がなくても、日常のつながりは切らない
「放っておく」と「見守る」は違います。
子どもが距離を取りたがっているなら、その距離は尊重する。
でも、
挨拶もしない。
関心も示さない。
何があっても知らない。
それでは、本当に関係が離れてしまいます。
「おはよう」
「おかえり」
「ご飯できてるよ」
そんな何気ない言葉は、今までどおりでいいのです。
追いかけない。でも、いなくならない。
子どもが自分の世界へ向かっていく時期だからこそ、安心して戻ってこられる場所を残しておくことが大切です。
4.親自身の不安と、子どもの問題を分けて考える
子どもが話してくれないと、
「嫌われたのかな」
「学校で何か起きているのでは」
「このまま不登校になったらどうしよう」
と、親の不安も大きくなります。
すると、その不安を解消するために、子どもから答えを聞き出したくなることがあります。
そんなときは一度、
「今、困っているのは子ども? それとも、不安になっている私?」
と考えてみます。
親が不安を抱えてはいけないわけではありません。
ただ、親自身の不安をすべて子どもに解決してもらおうとしないこと。
親も誰かに相談したり、自分の気持ちを整理したりすることで、子どもとの距離を落ち着いて考えやすくなります。
「放っておく」と「見守る」の違いは、戻れる関係があるかどうか
思春期の子どもは、親から距離を取ることがあります。
その距離を無理に縮めようとしなくてもいい。
でも、関係まで手放す必要はありません。
小さい頃は、手をつないで守ることができました。
思春期になったら、その手を少しずつ離していく。
それでも、
「困ったときには聞いてくれる」
「失敗しても全部を否定されない」
「ここに戻ってきても大丈夫」
と思える場所を残しておく。
親子の信頼関係は、会話の量だけで決まるものではありません。
子どもが自分から話したくなったときに、
「この人になら話しても大丈夫」
と思えること。
それが、思春期の安心関係につながっていきます。
「思春期だから」で片づけず、相談を考えたいサイン
話す量が減ったり、一人で過ごす時間が増えたりすること自体は、思春期にみられる変化の一つです。
ただし、いつもと違う状態が続いている場合は、「反抗期だから」と決めつけないことも大切です。
たとえば、
眠れない、または極端に睡眠時間が変わった
食欲が大きく落ちた状態が続いている
学校へ行けない日が増えている
好きだったことにも興味を示さなくなった
以前と比べて表情や行動が大きく変わった
など、会話の減少以外の変化も重なっている場合です。
そんなときは、無理に本人から事情を聞き出そうとするより、学校や医療機関、地域の相談窓口などに相談することも選択肢の一つです。
親だけで先に相談しても構いません。
「どのくらいになったら相談すればいいのだろう」と迷っている段階で相談することもできます。
まとめ|思春期は「話してくれること」より「話せる関係」を
思春期の子どもが話してくれないと、親は不安になります。
でも目標は、
「何でも親に話す子」にすることではありません。
子どもには、親に言わないことがあってもいい。
自分だけで考える時間があってもいい。
今はうまく言葉にできないことがあってもいい。
それでも、本当に困ったときには、
「話してみようかな」
と思える。
そんな関係を残しておくこと。
話してくれることより、話せる関係を。
ははのてが大切にしている「安心関係づくり」は、思春期になってからでも、一度すれ違ってしまってからでも、育てていくことができます。
「最近、何も話してくれない」
「声をかけると怒られる」
「見守るって、どこまで?何もしないこと?」
そんな親子の距離に迷ったときは、一人で抱え込まずご相談ください。
訪問心理カウンセリングルーム ははのて
子育て・思春期・不登校など、親子の安心関係づくりをお手伝いしています。
